エキゾチックアニマル
ウサギの乳腺癌
中年から老年期のメスのウサギにみられる。
肺に転移しやすいため、早期の手術が勧められます。
他の臓器に転移する前に手術で摘出できれば完治します。
グルーミングの時などにしこりに気づかれることが多く、日頃からブラッシングと同時に体をよく触ってチェックしておくことが重要でしょう。
しこり=悪性ではないため、細胞診検査をおこないましょう。
症例
乳腺が腫れてきたため来院
身体検査 | 乳腺腫瘍 |
血液検査 | 特に異常なし |
レントゲン検査 | 転移所見なし |
超音波検査 | 特に異常なし |
治療 | 片側乳腺摘出術 |
病理検査 | 乳腺癌 |
経過 | 今のところ転移所見は認められていないが、定期的な検査で転移・再発をチェックしています。 |
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術前の乳腺マス |
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術後の患部の状態 |
ウサギの子宮腺癌
おしっこに血が混じるようになって気づくことが多い。その他の症状はあまりないことが多く、元気も食欲もあって本当に癌になっているのかと思われるかもしれません。
逆に元気が無くなってきている場合は、すでに転移がおこっており、手術することも、助けることも難しくなります。
症例
尿に血が混じるため来院
身体検査 | 特に異常なし |
血液検査 | 軽度の貧血 |
レントゲン検査 | 下腹部にマス(子宮の疑い)、肺に転移像は認められない |
腹部超音波検査 | 子宮のマス |
診断 | 子宮腫瘍(子宮腺癌の疑い) |
治療 | 卵巣・子宮摘出術をおこない、摘出した子宮の腫瘍を病理組織検査に出したところ子宮腺癌と診断されました。定期的にレントゲン検査および血液検査をおこない、再発・転移は認められていません。 |
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手術中の所見 |
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摘出した卵巣と子宮腺癌 |
フェレットの副腎疾患
フェレットの3大疾患の1つ(他2つはリンパ腫、インスリノーマ)
尾、腰、体、頭などに脱毛がみられ、徐々に時間をかけて最終的にはほぼ全身が脱毛する。
脱毛ばかりが目につくのだが、肝酵素の上昇などがみられる全身疾患であるため治療が必要。
またオスでは前立腺肥大も見られ、それにより排尿困難になることが多い。
症例
体の毛が脱毛してきたため来院
身体検査 | 胸から腹部、尾まで脱毛 |
血液検査 | 肝酵素の軽度の上昇 |
レントゲン検査 | 特に異常なし |
腹部超音波検査 | 左側の副腎の腫大 |
治療 | 副腎の摘出術により、発毛がみられ完治 |
フェレットのインスリノーマ
フェレットの3大疾患の1つ。膵臓にできる腫瘍によりインスリンが過剰に作られて低血糖を起こすことにより、震え、ケイレン、意識消失などの症状が認められる。
治療法は、ステロイドやジアゾキシドという薬を用いた内科的治療と腫瘍の切除を行う外科的治療がある。
腫瘍なので外科的な切除が根本的治療法となるが、非常に小さな腫瘍でも激しさ症状をおこすため、目に見える腫瘍を全て摘出しても、目に見えないサイズの腫瘍が残っていることがあり、再発することが多くみられる。
しかし、内科的治療薬のステロイドは長期投与となるため脱毛や肝障害などの副作用が強く、ジアゾキシドは高価となるなど、必ずしも内科治療の方が良いというわけではない。
年齢的に、外科手術が可能であるならば、まずは切除をおこない、その後、再発したら、内科的な治療をおこなうのが良いことが多い。
症例
後ろ脚がよわくなる、震えるという主訴により来院。
身体検査 | 特に異常所見なし |
血液検査 | 低血糖、インスリンの血中濃度の上昇 |
レントゲン検査 | 特に異常所見なし |
腹部超音波検査 | 特に異常所見なし |
治療 | 外科的摘出により改善。その後、再発したため内科的治療で維持 |
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↑〇で囲まれたところが腫瘍。 |
1つだけのこともあれば、複数存在することもあるため、膵臓の周囲をくまなく確認し、目に見える腫瘍を全て取り除くか、あるいは膵臓の部分的切除をおこなう。